中国への転職は、手間と時間がかかる。【準備が遅れると後悔します】
中国への転職(日系企業からの駐在、現地採用)をしたい人向けの記事です。
- 中国へ転職する事で得られるもの(やりがい、スキルを活かせる)
- 中国へ転職する際の手続きの煩雑さについて解説
- 中国への転職の良いところ、辛いところ
等を解説します。
日本は世界でも割と上位の、経済大国です。
日本が大きく強い国になったのは、間違いなく過去の人たちのものづくりの技術や精神のおかげです。
しかし一度発展し切ってしまうと、伸びが鈍化します。それが平成の失われた30年でした。
さらに追い打ちをかけるように、ヨーロッパから始まる自動車に対する規制が始まり、日本の製造業はこれからもしばらく困難に立たされる事が予想されています。
これが問題で。大企業は業務転換で生き残る道を模索できますが、サプライヤーには大打撃。
中小企業の技術者は日本では働き場がなくなります。
しかし外国には今のスキルをそのまま活かせる活躍の場がまだあるので、今回は中国を例にして、紹介したいと思います。
- 中国で働く日本人が提供できる価値を紹介
- 中国で働くために超えなきゃいけない壁と解決法を紹介
私は現在中国で働いて、もう2年目になりますが、日本人が当たり前にできることが、実は強みになる事を知りました。
日本人が力を発揮できる分野がたくさんあるという事が、あなたにも伝わればうれしいなと思います。
中国に転職すると、日本人らしさが強みになる
中国に転職すると、「日本人らしさがある」事が強みになる事があります。
▼例えばこんなことがあります。
- 読み書きが得意
- 字が綺麗、絵がうまい
- よく勉強して、よく働く
- 仕事が丁寧
- 事前予測が得意
日本人の平均レベルで、相当に評価してもらえます。
一つずつ、簡単に解説します。
読み書きが得意
日本人は、読解力に優れている。と個人的に思います。
PISAという国際的な自国の学力の立ち位置を知れる調査があるんですが、日本人は読解力が高いような結果が出ています(見方は色々あって、順位が落ちた事を指摘されることもあります。個々の判断ですね。)
日本語でレポートが出ているので、興味がある方は見てみてください
字が綺麗、絵がうまい
私は決して字が上手い方ではありません
しかし社内の9割の中国人よりは、私の方が上手に中国語の文字を書けます。
他にも、私は決して絵が上手い訳ではありません。
しかし、社内のそこら辺の中国人よりは、私の方が上手に絵を描けます。
何かあれば筆談、なにかあればイラストで説明をしなきゃいけないですが、絵と文字はその時に非常に武器になるスキルです。
日本人と比べて下手だとしても、そこら辺の人と比べたらかなり感動されるので、日本人というだけで、アドバンテージです。
他社で通訳をしている中国人に聞いたところ、今まであった日本人は総じて絵と字が上手だと言っていました。
よく勉強して、よく働く
私は勉強が好きじゃありません。
勉強する時間ってムズムズするし、早く遊びに行きたいなと思ってしまいます。
しかし、日本人は世界的にも勤勉だとよく言われます。
ただ日本人というだけで、勤勉さの血が通っているので、「苦手だな」「好きじゃないな」と思ってても、他の人から見ると相当忍耐力がある努力家だと思われます。
実際私も全然スキルもないし、中国語もペラペラじゃないですが、周りの人はそれでも毎日少しずつ一緒に話せるようになっていく変化を見て、「自分たちにはできない成長だ、すごい、尊敬する」と言ってくれます。
仕事が丁寧
日本人は仕事が丁寧です。
どのお客様に対しても等しく対等に接しようとするし、自分の中の100%に近いクオリティでものを仕上げようとしますよね。
しかし、もしかしたらこれも日本独特なのかもしれません。
私はいま中国で働いていますが、同僚がみんな相当適当です。
お客様から会議前に「ABCDE」の資料を提出してほしいと言われても、「AB」までしか作らないなんて事を平気でやってきます。
しかもそのABも30点くらいのクオリティだったりするので、この大雑把さは逆に勉強できるところがありますが、それくらい適当なのがまかり通る世界なので、日本人らしく全部100点で作ってくると、相当喜ばれます。
事前予測が得意
100%同意していることが、日本人は本当に視野が広いです。
あれこれと気が回るし、起きてない問題も事前に潰そうとします。
「知っているけど放っておく」のと「知らずに対策も検討しない」のでは、問題が発生したときの初動が違います。
上司や同僚に、「こういうことが起こりそうだ」と事前に伝えておくことで、後の仕事がスムーズになります。
時に面倒くさいと思われがちなスキルですが、行動を強制しなければ、現地の人とも上手くやりつつ問題も対処できます。
ほんとうによく気付くので、あれもこれもと言いたくなりますが、間違っても「こうするべきだ」とは言っちゃダメです。
地雷を自ら探し出して踏みに行く行為は、結構嫌われます。(私の周りでは)
中国に転職するのは、実はかなり難しい
中国で働くと色んな気づきがあって面白いです。
しかし、中国に転職するにはビザを中心に超えなきゃいけないハードルがいくつかあって、結構大変です。
▼例えばこんな壁があります。
- 大学は出た方が良い
- 中国語能力が求められる
- 関連の仕事経験が求められる
- ビザを取るまでに手間と時間がかかる
- 言葉は通じても、考え方の違いに驚く
順番に解説します。
人材価値が求められる【大学は出た方が良い】
中国で働くには、人材価値が求められます。
この人材価値は
- 学歴
- 中国語能力
- 関連知識
- 職歴
- 会社での役割
- 年間の給料
等からポイントが付けられて判断されます。
日本では「大学なんていかなくてもいい」と言われたりしていますが、海外に出る可能性があるなら総じて「Fランでもいいから大学だけは出ておいたほうがいい」です。
普通ビザは相当な金持ちか将来有望な人しか出ません。
大学を出ているだけで有望扱いしてもらえるので、大卒の資格はマジで強いです。
中国語能力が求められる
2021年からHSKのルールが変わるのでポイントの付与も変わりそうですが、現状ではHSK5級以上を持っていると、就労ビザ取得用のポイント制度の中で、10ポイントもらえます。
合計60点必要と言われていますが、そのうちの10点は相当デカいですよね。
ちなみにHSKは4級までなら割と短期間でとれるので、勉強しておくとコスパが高いです。
HSKの勉強法について解説した記事があるので、サクッと合格するために一通り読んでおくのをおススメします。
関連の仕事経験が求められる
ビザ取得のために、関連職種での勤務年数が問われます。
製造業に携わるなら製造業でどれだけ働いていたかがポイントに関わります。
したがって新卒だとビザがおりにくい事になります。
大手の海外トレーニーなど、「入社後5年以上」みたいに制限があるのは、この辺が関係しているかもしれませんね。
ビザを取るまでに手間と時間がかかる
ビザはマジで面倒くさいです。
最低でも3か月の戦いは覚悟したほうがいいかと。
私は半年かかってようやくビザが手に入りました。
手間取る理由がいくつかあって
- 証明書発行の時間が必要
- 外務省や大使館の認証が必要
- 現地の書類チェック待ちが必要
- 国際郵便での書類のやり取りが必要
などの仕方ないものに加えて、「しょっちゅうルールが変わるから完璧な準備ができない」というのもあります。
過去の私の経験を記事にしています。(大枠は変わらないので)参考にしてみてください。
言葉は通じても、考え方の違いに驚く
とある中国で働くの方のツイート
読解力が致命的にないんだろうなぁ
(言葉は通じても、話は通じない)— 現人神 ក្រុង Keizer☆JC Эгио@クソ鎮 (@egiwo) March 30, 2021
一度一緒にワニを食べに行ったので少しだけ知っている方なんですが、中国語はとても上手です。
中国人とのコミュニケーションもばっちり取れるんですが、言葉は通じても理論や背景、常識がまるで通じないことによく苦言を呈しています。
彼が住んでいる場所が特殊過ぎるので例としては悪かったですが、文化の違い、価値観の違いから、こちらが当たり前と思っている事が相手にまるで通じない事がしょっちゅうあります。
逆に相手の常識がこちらには理解できない事も多々あります。
よくあるのがゴミの問題ですよね。
拝読。自分もポイ捨てしないし、ファーストフードなどの店でもみんな周りはやらないのに自分は捨てたり片付けたりしてテーブルをキレイにして去ります。マナーのレベルは周りに合わせる必要はありません。自身のマナーレベルが下がると上げるのが大変だからです。国籍関係なく、自分を保っていたい。 https://t.co/cdcTUrSwM6
— 小龍(しゃおろん)🇨🇳🇯🇵/1coinVPN運営/カート (@xiaolong761216) April 27, 2021
日本では20年近く前にゴミ箱が撤去されて、ごみをゴミ箱まで持って歩くことが根付きました。
それまでは一部ポイ捨てもあったと記憶していますが、もう我々の年代だとゴミはポイ捨てするものじゃないです。
が、中国ではポイ捨てしてもよい場所があったり、スタバでコーヒーを飲み終わってもゴミ箱に捨てなくてもOKだったりします。
「ごみをそのままにしておくなんて理解できない」と思いますが、日常的にこういう文化の違いってあるもんです。
中国に転職したら、想像以上に生きがいを感じる事が多かった
中国の会社に転職したら、本当にいろんなことを勉強できました。
さらに、自分の存在を肯定してもらえたり、努力を誉められたり、生きがいを感じるようになりました。
▼個人的な感想ですが、こんなことを感じています。
- 「自分にしかできない」と感じる場面がある
- みんな褒め上手なので、チャレンジするのが楽しい
- 生活必需品が安く買える
- 休みはしっかりやすめる
- 日本にいる時よりも、お金が貯まる
一つずつ、簡単に紹介します。
「自分にしかできない」と感じる場面がある
日本で仕事をしていたら、周りは当然日本人です。
言葉の壁も無いので、「自分にしかできない」を感じようと思えば、仕事のスキルを誰よりも磨くしかありません。
しかし中国に来れば、変わります。
周りは中国人なので、日本語を喋れること自体がスキルです。
したがってまだ右も左もわからない時から通訳を担当させてもらったり、お客様の日本人の対応をさせてもらったり、本来優秀じゃないとできないことを早いうちから経験させてもらっています。
みんな褒め上手なので、チャレンジするのが楽しい
中国人は、本当に褒め上手です。
ちょっと中国語であいさつしただけで目を真ん丸にして褒めてくれるし、ちょっと中国語でメールを送ったら凄く褒めてくれるし、気持ちいいです。
褒められるともっと褒めたくなりますよね、なのでどんどんチャレンジしたくなります。
中国に来てよかったなと思う大きな理由の一つが、これです。
ほんとうに気持ちが良いです。
生活必需品が安く買える
中国では、生活に必要なものが安いです。
朝ご飯は100円以下でお腹いっぱいになるようにもできるし、ちょっと奮発しても300円くらいです。
贅沢したらきりがないですが、最低限の生活をしようとすればかなり安く生活できます。
バスは2元(35円くらい)、電車は10元(170円くらい)、タクシーで20分移動するにしても、300円程度で移動できます。
あとはポカリも100円以下、ビールとポカリが同じ値段です。
生活する上で必要なものは、まじで安いです。
休みはしっかりやすめる
状況によるところはありますが、休みは休みです。
17時半の終業のチャイムと同時に偉い人も若い人も一斉にご飯を食べに行き、一緒にご飯を食べます。(会社によります)
その後、残業の人もいますが、基本は自室に戻ってゆっくり過ごします。
日本にいたときは定時になってもそのまま仕事を続けて、夜11時まで働きっぱなし。
土日は月曜日までに残した仕事の進め方を事前準備するなどで、実質働きっぱなしでした(某自動車グループの大手ですらこうでした)
それが無くなったので、中国に来てほんとうによかったなと思っています。
日本にいる時よりも、お金が貯まる
大切な事、日本にいるときよりも、お金が貯まります。
私は転職した結果、給料が当時の3分の1くらいになりました。
しかしそれでもお金が貯まってます。
使いみちが無いのもありますが、大きいのは税金ですかね。
給与明細を見たら、寮費、家賃光熱費、旅行積立、税金などを引いても1万元からほとんど減ってませんでした。
なので年間100万は平気でたまります。
給料が日本と同じ水準になれば、単純に年間300万円貯まります。素敵です、中国。
中国転職の難しいところ【超えるべき壁が高い】
次に中国転職の難しいところを紹介します。
中国転職には超えるべき高い壁がいくつかあります。
学歴or職歴がビザの大きな要件
中国で働く際の大きな要件が、学歴&職歴です。
中国ではたぶん、単純労働の外国人を受け入れる方針ではないんでしょう。
関連知識、関連する基礎学力がないと国の発展に関わらないと判断されるのか、ビザ取得が急に難しくなります。
大学は出るべきだし、就職は、トヨタに行っておくべき。
学歴も職歴もない人は中国語能力がマスト
世界的に優秀な大学(日本では東大or京大)に行くと、中国のビザポイント制で有利です。
トヨタなど、世界的に優秀な企業で3年以上働くと、中国のビザポイント制で有利です。
しかし学歴も職歴も大したことない人もたくさんいます。私もそうです。
そういう人は、HSKを持っておくと、中国のビザポイント制で有利です。
60点必要なうち、Maxで10点加点できます。かなりコスパの良い試験です。
HSK4級までなら半年くらいで合格できます。Googleで検索したら大体そんな感じの回答でした。
インターネットの壁が一番高い
中国で働くなら、実はインターネットの壁が一番高いです。
なぜなら
- Googleも
- YouTubeも
- Twitterも
- LINEも
- インスタも
全部使えないからです。
知らずに行くとかなり苦労するので、対策法を先に知っておくのがおすすめです。
現地で働く日本人おススメの方法を以下の記事で紹介しておきます。
中国に転職したいなら、準備は早めがおすすめ
最後にまとめです。
中国で働きたいなら、準備は早めからしておくのがおすすめです。
体験談ですが、ビザを待っている時間は、かなり不毛です。人生の無駄遣いです。
大学を卒業して学位をとる
一番最初の準備は大卒の学位です。
これが無いといきなり苦境に立たされるので、海外で働くなら大卒の資格は持っておくのが無難です。
関連職種で経験を積む
製造業なら製造業、IT系ならIT系で、関連職種で経験を積むのが大切です。
中国では人材価値をポイント制で判断しているので、価値を高められるように、経験を積んでおきます。
中国語は半年以上前から勉強を開始しておく
中国語は勉強しておいたほうがいいです。
台湾に行くなら街中の人も英語を話せますが、大陸の田舎の方だと中国の標準語すら怪しい人もいます。
たった半年で中級レベルの入り口に立てるので、HSK4級までは勉強しておくのがおすすめです。
かくいう私もHSK4級です。
HSK4級でも、経験と日ごろの勉強さえすればペラペラではないにせよ十分に話せます。
中国への転職はかなり有意義。
将来に対して漠然とした不安を持っているなら、中国に行ってみるのも一つの選択肢です。
ただし中国に行きたい人は年々増えているので、もう動き出していないと良い待遇の会社は残ってないかもしれません。
そのうち良いサイトを見つけたら転職サイトのリンクを貼ります。
登録だけなら無料。先に情報だけ収集するのが中国転職のコツです