コベナンツ条項の付いた融資が流行。コミットできないと罰ゲーム
こんにちは、TOMOです。
先日、景気の悪いニュースについてご紹介しましたが、
景気が悪くなると銀行からの融資を受けづらくなります。
どこの会社でもそうですが、景気が悪くなると収益が悪化します。
お金を借りている場合、当然返済に回せる余裕が減ります。
そうなると、銀行側から見ると回収できる可能性が下がるので
融資を躊躇されるようになります。
そこで、「少しでも資金に余裕があるうちに回収してしまおう」という考えで
コベナンツ条項付き融資というのが流行しました。
「結果にコミットできなかったら融資を引き揚げるよ」っていう制度です。
これから徐々に景気が下がっていく予想がされているので
今のうちに金融関係について詳しくなっておいて
必要な手を先に先に、打てるように勉強していきましょう。
コベナンツ条項の付いた融資が流行。コミットできないと罰ゲーム
経営者や経理関係の方なら既にご存じの方も多いと思いますが
銀行から融資を受ける際に、最近は「コベナンツ条項」というノルマを付けることが増えました。
コベナンツとは
金融業界で、単純にコベナンツといった場合、通常債権者が債務者の財政状況に応じて貸付金を引き上げることができることを約した財務制限条項のことを指すことが多い。
僕ら来年末までに○○円の利益を出します!
方法はこんな感じです!っていって銀行からの融資を受けます。(事業計画書)
方法はさておき、結果が伴ってこなかった場合、「このやり方じゃダメなんじゃないの?」と
指摘を受けて、銀行を納得させられなければ最悪融資を引き揚げられてしまう(貸し剥がし)かもしれないという怖い制度です。
一般に、中小企業に対しては、「頑張ってこの月までに儲けてね。」という
応援型のコベナンツが多いといわれています。
罰ゲームで融資の引き上げというよりは、コミットできないと金利を上げられてしまうという使い方が多いです。
それまでは金利を安くしておいてあげるから、頑張って!っていう応援ですね。(参考:Space One)
コベナンツ条項が付いた融資にはどんな種類があるのか
会社と銀行の関係や、会社の状態、銀行の方針などによってさまざまあるみたいですが
コベナンツ条項が付いた融資には以下の種類があるようです。(調べました)
- 経常利益が〇期連続で赤字にならないこと(P/L)
- 純資産が前年の〇%以下にならないこと(B/S)
- 債務月商比率〇倍以内であること
- 自己資本比率が〇%以上であること
- 格付け機関の評価が〇以上であること
- 連結、または単独で債務超過にならないこと
こういうのがあって、それを守らないと
- 抵触△回につき〇%の金利上昇
- 抵触□回以上で期限の利益の請求喪失
- 再び制限条項を遵守したら当初の利率に復旧
こんな感じの罰ゲームがあります。
で、これが不景気になると平気で抵触してしまって
「では、当初の取り決め通り貸付金を引き揚げさせていただきます」といわれてしまうわけです。
難しい言葉が出てきたので一部解説。
金融関係の用語は漢字が多くてよくわからないです。
とはいえカタカナよりはマシですが。
会社の謎の行動も、実は銀行との取引の関係上、仕方なくやっていることがわかります。
債務月商比率とは
債務月商比率とは、債務が月商の何倍あるか?を示しています。
月の売り上げに対して債務が小さければクリアできるので、
利益追求の姿勢からすると正しい行動とは言えないかもしれませんが、
「赤字になってもいいから売り上げを増やす」というのは一応、理にかなっていることになります。
自己資本比率とは
自己資本比率とは、総資本(自己資本+他人資本)のうちの自己資本の割合です。
自己資本比率が高ければ、過去の業績の蓄積が多いとか、いざというときの攻めにお金を使えるという意味で信用が高くなります。
貯蓄などの資産が多い人と借金ばかりで生活を回している人のどちらが信用しやすいかと似たイメージでしょう。
こと経営においては、借金=悪ではないというのもありますが、一応健全で、経営が安定しているという見方をされます。
債務超過とは
債務超過は、資産を夫妻が上回ってしまっている状態です。
持っている資産をすべて売っても借金を返しきれないので、
「これはまずい、つぶれるぞ」という状態になり、銀行の融資を止められやすくなります。
(回収の見込みがなくなってしまうので)
期限の利益の請求喪失とは
「この間はお金を返済しないでずっと持っていてもいいですよ」という
返済の猶予期間のことを期限の利益と呼びます。
その間は何もしなくてもお金を持っていることができるので、
一時的な利益としての利益、「期限」という利益を持っているから期限の利益というのかな?
で、この期限という利益を、コベナンツに抵触することで喪失するので期限の利益の喪失。
つまり、「もう今日にでも返済しなさい」という意味になります。
コベナンツ条項の付いた融資を受けることで、銀行からお金を借りやすくなる
契約書の状況次第ではありますが、
一般的なイメージとしてのコベナンツ条項の付いた融資では、
銀行は「貸したくない相手に渋々お金を貸す」
会社は「結果を出さないと即融資が止まる」という
お互いにリスクをかけあうことによって信用を得て、
お金を借りやすくします。
ただし注意するべきことは、
コベナンツを受けるということは、毎回チェックを受けることになります。
そのための人件費も発生する事を忘れちゃいけないです。
それら手数料を金利として計算して、
さらに「コベナンツを受けない場合の金利」を質問で聞いてみて
安いほうの金利でお金を借りる必要があります。
(参考:VanCreworth)
何となく珍しい言葉だからと受けると、後でバタバタします。
ワタミも債務超過寸前になって介護事業を売却したり
東芝も原発関連で危うくという感じでした。
不測の事態とは言え、何でもかんでもOKとするのではなく、「自分たちが有利になるのか?」と常に考えておくべきでしょう。
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